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現地レポート

小さい選手がリバウンドを制す!? RSS

2017年3月29日 14時03分

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「JX-ENEOS 第30回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2017(以下、ジュニアオールスター2017)」は大会2日目を迎え、男女の決勝トーナメント1回戦がスタートした。

大会有望選手に名を連ねる兵庫県#8石原 妃栞選手(右)

女子1回戦を逆転で勝ち抜いた兵庫県には178cmのセンター、#8石原 妃栞選手がいる。
今年度行われたJBAの選手育成事業「U-14ナショナルジュニアユース育成キャンプ」にも選出されるなど、将来性を期待されている選手の一人だ。今大会の公式プログラムでは「大会有望選手」にもその名を連ねている。

しかし高さのある選手が一人いれば必ず勝てるというほど、バスケットボールは甘くない。むろん兵庫県を率いる島田 宏コーチは#8石原選手の高さがあることを念頭において、チーム作りをしている。
「今年は高さがあるので、リバウンドを頑張り続けることを選手たちに伝えてきました。そうすれば相手が疲れてきたり、ファウルトラブルに陥ることが考えられるからです」
事実、決勝トーナメントの1回戦でも、終盤までは静岡県を追う展開だったが、リバウンドを頑張り続けることで静岡県の足が止まり、ファウルトラブルにも陥らせていた。

ただ、繰り返しとなるが、石原選手だけがリバウンドに孤軍奮闘していても、この逆転劇は生まれなかっただろう。チーム全員――そこにはベンチから応援の声を送るメンバーも含まれる――がリバウンドへの意識を切らさず、ボールに食らいついていたからこそ、生まれた勝利だった。

相手が下したボールに食らいつく兵庫#14石井 あい選手

なかでも、ふとしたところでリバウンド争いに絡んでくるのが#14石井 あい選手だった。
彼女は今大会でも身長の低い方から数えたほうが早い、150cmの選手である。もちろん高いところでのリバウンド争いには絡めないが、相手がボールを下におろした瞬間にスティールを狙う。スティールができなくても、ヘルドボールになったり、相手がボールを失ったりするのだ。

それだけではない。「高さの面ではハンデはありますが、彼女はエネルギッシュで、ドリブルで(ディフェンス網を)切ることもできるので、相手のディフェンスをかき乱して、相手によいリバウンドポジションを取らせないこともできるんです」
島田コーチはそう説明する。つまり背が低くても、#14石井選手の存在はチームリバウンドの重要なカギを握っているわけだ。

#14石井選手自身も、自分の背の“低さ”は十分に理解している。
「自分のチームでもそうだけど、今大会全体を見ても自分が小さいことはわかっています。だから気持ちでは負けないようにしています。リバウンドのときに下におろしたボールを狙うのは、ミニバス時代や、自分の中学が背の低いチームなので、全員でカバーすることを意識しているうちに身につきました」

バスケットボールは、確かに高さがあるほうが有利である。しかし低くてもやれることはたくさんある。それはスピードだったり、シュート力、ゲームコントロールといったアウトサイドでの側面だけではない。リバウンド争いのなかでも“低さ”を発揮して、チームを勝利に導けるのだ。
リバウンドを制する者はゲームを制する――その格言を実行できるのはビッグマンだけではない。

仲が良いという#8石原選手(178cm)とともに、兵庫県のリバウンドの一翼を担う150cmの石井選手

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