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2017年3月28日 23時24分
「JX-ENEOS 第30回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2017(以下、ジュニアオールスター2017)」は大会初日の予選リーグが終わり、決勝トーナメントに進む男女各16チームが出揃った。
予選リーグの序盤2試合で敗れて、大会を去るチームがあるということは、裏を返せば、その試合で勝ったチーム同士が、予選リーグの最後のゲームで決勝トーナメント進出を争うことでもある。男子の予選Cグループは、まさにそういう展開になった。
高知県を初戦で破った愛知県と、第2戦で破った山口県の対戦。結果は60-42で愛知県が勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。
しかし、山口県の中村 智明コーチは「選手たちはよく頑張りました。納得しています」と胸を張る。
平均身長180.1cmの愛知県に対して、山口県は174.5cm。185cmを超す選手を6人揃える愛知県と、その選手が1人もいない山口県。高さのハンデは明らかだが、それでも山口県は必死に食らいついていった。
「高さがない分、勝つためのには脚力でついていくしかないと思っていました。でも、最後の最後で走り切れなかったり、シュートを決めきれなかったことが敗因です(山口県・中村コーチ)」
そう語る中村コーチは、自チームである柳井市立柳井中学校で、昨年度の全国中学校バスケットボール大会(全中大会)を経験している。そのとき敗れた“高さ”への経験を踏まえて、今年の山口県を勢いのあるチームを作り上げていった。
「この子たちはいわゆる“間の世代”なんです。2018年度は山口県で全中があるので(一つ年下の世代は)強化されていて、昨年度は河村 勇輝という核になる選手がいました。今年のチームは、そのような核になる選手がいなかったので、みんなでやっていこうというスタイルにしたんです。でも結成当初は、前半だけでターンオーバーを20個以上もするようなチームでした。それが今日はよく我慢して、力を出し切ってくれました」
中村コーチの指示どおり、選手たちは愛知県の高さに屈することなく、ぶち当たっていって、その幕を下ろした。
チームでは身長の高い部類に入る、176cmの#6松田 直樹選手は「ビデオで観ていた愛知県よりも、現実のほうが高さを感じたし、パワーもありました。技術面でも基礎がしっかりしていて、そこに僕たちとの違いを感じました」とゲームを振り返る。
彼自身は愛知県の190cm近いセンター陣とマッチアップし、ゲーム終盤、足を気にする場面が何度か見られた。走るスピードも初戦よりも明らかに落ちていた。
「県内には(愛知県のような)大きなセンターのいないし、そもそも自分の中学校ではフォワードをしているので、センターを守る経験が少ないんです。なんとか守ったけど、最後のほうは足にきてしまいました」
体を張って愛知県のセンターを守ると、攻撃に転じるとフォワードの動きで果敢にゴールへアタック。チームに勢いをもたらそうとしていた。それを何度も何度も繰り返していれば、当然足への負担も重くのしかかるが、それでも#6松田選手は最後まで走ることを止めなかった。
「ドライブは通用したと思うので、それに磨きをかけて、シュートの確率を上げること、そしてリバウンドにも飛んで、空中戦でも力を発揮できるようになりたいです」
176cmのオールラウンダーは今後、どんな成長を見せてくれるだろうか。
自分たちの都道府県内にはいないサイズ、もしくは能力、スキルを持つ選手たちと対戦することは、中学生年代の選手たちにとって貴重な経験となる。
チームの勝ち負けはつくが、それは彼ら、彼女らの勝ち負けではない。むしろ今大会を通じて、これまで味わったことのない経験をして新たな課題を見つけた選手こそが、今大会の一番の勝者といえる。
ジュニアオールスター2017出場選手の皆さん、夢と希望の、未知なる世界へようこそ。
この貴重な経験は必ず未来へとつながっていく。
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